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July 29, 2007

類似・混同と「パクリ」との違い(めしや食堂店舗外観事件)

 ここ4か月ほどは、ちょっと忙しかったので(その割には海外旅行にも行っていたけれど)、更新が滞っていたが、何とか一段落した。少しは雑記も増えるかもしれない。

 さて、知的財産重視の世界になると、「パクリが悪」という感情になりがちだが、少なくとも裁判所の判断はそうではない。ここあたりでも詳しい「めしや食堂店舗外観事件」は、店舗の外観も出所表示として機能するとした上で、類似・混同を否定したものだが、皮肉にも、原告が提示した、「類似・混同の証拠」を、裁判所は「混同(誤認)がないことの証拠」の如く扱っているのである。この点については、実務上も気をつけないといけないだろう。つまり、業態としては似ているかもしれないけれど、現実に区別がついているのだから、出所表示として混同(誤認)されていないし、類似でもないということなのである。業態が似るのは自由競争の範疇だ、ここは共産主義国家ではないのだからということなのだろう。

<判決より(下線筆者)>
 ちなみに,誤認混同の例として挙げるインターネットの書き込み(甲26)は作成者が不明であるという点はさておき,「めしや食堂とは別モン?」と記載されているにすぎず,「別モン」である店舗の具体的記載がないので,これをもって具体的な原告店舗との誤認混同の例と認めることはできない。また,「お客様のご意見をお聞かせ下さい。」とのメモ(甲27)は,原告店舗が顧客に利用後の感想を求めたのに応じて顧客が作成したメモと認められるところ,そこには「始めて来ました大阪の高槻で営業している(ザ・飯屋)みたいだなあと思いました。」との記載があるところ,同記載によれば,同顧客は原告店舗と被告経営の店舗(ザ・飯屋)を明確に識別した上で回答していることが明らかである。 また,インターネットのブログ(甲33,34)には,それぞれ「この店(判決注・被告店舗西宮北インター店)は出来た当初は『ザめしや』で,お次は讃岐うどんの『めんむす』に改装,お次は『めしや食堂』ときた。この新業態,大阪中心に急拡大を続ける某チェーンのパクリと思えなくはない。…というか,完全パクリやん。」(甲33),「『めしや食堂』も『ザめしや』の系列ですが,システムは『いも膳』や『まいどおおきに食堂』に近く,その分リーズナブルになっています。」(甲34)との記載がある。これらの記載は,いずれも原告店舗と被告店舗の営業主体が異なることを前提として,その業態等が類似していることを言うものにすぎないことが明らかである。したがって,原告の挙げる上記証拠は,いずれも被告店舗を原告店舗と誤認混同した具体的事例と評価することはできない。

 上記は不正競争行為の1号(周知な商品等表示との混同行為)だからということもあるが、2号(著名商品等表示と類似するものの使用)の場合には、混同は要件ではないから、類似の「線引き」を混同(誤認)ではなく、たとえばイメージ希釈化(著名表示がどれだかよく分からなくなる、又は記憶を薄れさせてしまう)のようなところに持っていって、弾力的にやれるのかもしれないけれど、そもそも著名表示というのは、まともな企業なら絶対近寄らないほど有名な表示でもあるので、本件のようなものには適用が難しそうだ。

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